病院の部屋

トリコモナスは単細胞の原生生物に属する寄生生物です。
人間だけではなく動物にも寄生します。
トリコモナスには様々な種類がありますが、人間に対して病原性を持つのは膣トリコモナスに限られます。
他の種類のトリコモナスは病原性がないため、感染されたとしても何らかの症状があらわれることはありません。
主な感染原因は性行為によるものですが、性行為以外でも寄生する可能性があるのがトリコモナスの特徴です。
トリコモナスには潜伏期間もあるため、いつどこで寄生されたのかを特定するのはしばしば困難となります。
トリコモナスについてきちんと理解し、寄生されないように予防することが大切です。

トリコモナスの種類を紹介

トリコモナスは人間だけではなく数多くの動物に寄生している原虫であり、鳩などの鳥類に感染するものや牛や水牛に感染するトリコモナスなどもいます。
人間に寄生するものとしては次の3種を挙げることができます。
人間に寄生するトリコモナスは、泌尿生殖器の粘膜に寄生する膣トリコモナス、腸管の粘膜に寄生する腸トリコモナス、口腔粘膜に寄生する口腔トリコモナスの3種類です。
膣トリコモナスには病原性が確認されていますが、腸トリコモナスと口腔トリコモナスには病原性が確認されていません。

つまり、腸トリコモナスと口腔トリコモナスに感染したとしても、それが原因となって身体に何らかの症状が起こることはないということです。
腸トリコモナスは人間だけではなく、犬や猫、猿などにも感染します。ただし、病原性はありません。
そのため、病院において治療が必要となるトリコモナスは膣トリコモナスであると言うことができます。

単細胞の原生生物に属する寄生生物である膣トリコモナスは、女性では主に膣に寄生することによって膣炎を引き起こし、男性では主に尿道に寄生して尿道炎を引き起こします。
ただし、膣トリコモナスに寄生されたとしても、大部分の男性は何の症状もあらわれないことが多いです。
男性で膣トリコモナスの症状があらわれる場合には、陰茎内部の刺激・尿道からの膿の排出・排尿あるいは射精後の灼熱感などを感じることがあります。
男性で症状があらわれた場合でも、通常、2?3週間程度の時間が経過すると症状が消えることが多いです。
ただし、自然に症状が消えた場合であっても、最初から何の症状があらわれなかった場合でも、病院で治療を行わない限り性交渉の相手にトリコモナスをうつしてしまう可能性があります。

一方、女性が膣トリコモナスに感染すると、多くの場合、兆候や症状があらわれます。
膣トリコモナスが体内に侵入してから通常5日~28日以内に症状があらわれることが多いです。
強い悪臭を放つ黄緑色の泡立ったおりものが膣内から排出されるようになります。
おりものの変化に加えて、性交時や排尿時の不快感、陰部の刺激や痒みなどの症状があらわれるようになります。
妊娠中に女性が膣トリコモナスに感染すると、早期破水や早産を招く可能もあるので注意が必要です。

トリコモナスの予防方法について

トリコモナスに感染することを防ぐ予防方法としては、まずは性行為の際にきちんとコンドームを使用することです。
トリコモナスは、酸性環境や乾燥に弱く、そのほとんどが粘膜感染という感染経路も限られていることから、コンドームを使用するだけでかなり高い確率でトリコモナスの感染を予防することができます。
特に、泌尿生殖器の粘膜に感染する膣トリコモナスは、ph値が5.0を超える酸性度が弱い状態にならないと活発に活動することができません。

膣トリコモナスに寄生されると、膣内で酸性度を高める役割を担っているアシドフィルス菌という乳酸桿菌が減少あるいは消滅してしまいます。
また、嫌気性の細菌が膣内で増加することが原因となって悪臭の強い黄緑色のおりものが出るようになります。

そのため、コンドームを使わない性行為は行わない・オーラルセックスをしない・性器具を共用しないなどの予防方法が有効です。
トリコモナス感染者との無防備な性行為は高い確率でトリコモナスに寄生される可能性があります。
通常、男性はトリコモナスに感染した女性からのみ感染し、男性間の性交渉で感染することはありません。
トリコモナスは成熟した女性の膣内に存在するグリコーゲンや糖を大量に消費することから、好んで女性の膣内に寄生するからです。
そのため、男性よりも女性の方が症状が重くなる傾向があり、男性よりも女性の方が感染者数が多いという特徴があります。

ただし、トリコモナスは極稀に性交経験がない方や幼児でも寄生することがあるため注意が必要です。
トリコモナスは酸性環境や乾燥には非常に弱いという特徴がありますが、水中や水分のある環境では一定期間生存することができます。
その結果として、感染者の使ったタオル・下着などを共有したり、便器や浴槽に置かれた椅子などと接触してしまうと感染する可能性があるため注意が必要です。
そのため、家庭内や温泉施設、プールなどで寄生されることも十分考えられます。

このような状況下でうつってしまう可能性は、性行為と比較すれば非常に低いですが、極稀にうつってしまうことがあることを認識しておくことが大切です。
家庭内や身近に感染者がいる場合の予防方法としては、特に感染者の性器付近に着用する下着、タオルなどを健康な人が触れないようにすることが大切です。

トリコモナスに潜伏期間はある?

トリコモナスには潜伏期間があります。
ただし、潜伏期間は個人差もあることから、あくまでも潜伏期間は目安として考えておくことが大切です。
しかも、感染したからと言って必ず発症するというわけではありません。潜伏期間ははっきりと特定できないことが多いです。
実際、多くの男性は、トリコモナスに寄生されてもほとんど何も症状もあらわれないことが多い傾向にあります。
一方で、女性は男性よりも発症率が高く、50?80%程度の人が発症すると考えられていますが、無症状の感染者も多く、その中の3割程度の方は感染から6ヶ月程度経過してから症状があらわれる場合もあります。

一般には、トリコモナスの潜伏期間は平均して10日程度であると考えられています。
早い人では寄生されてから3日後に症状が出る人もいますが、遅い人は感染から1ヶ月後に症状があらわれることもあります。
症状が出る程度も個人差が大きいため注意が必要です。
仮に、症状があらわれていない潜伏期間に性行為を行った場合でも相手にうつしてしまう可能性があります。

トリコモナスには潜伏期間であっても感染力があることをきちんと理解しておくことが予防に繋がります。
症状が出ていなくとも潜伏期間注意コンドームを装着せずに性行為を行うと感染させるリスクは非常に高くなるため注意が必要です。
潜伏期間中に不特定多数の人と性行為を行うと、無自覚のうちに感染者を量産してしまいます。
無症状であっても、トリコモナスに感染されている方が使った下着やタオルなどに接触するとうつってしまう可能性があります。

特に、トリコモナスは病気や疲れなどが生じるなど免疫力が下がっているときに発症する可能性が高くなります。
病気や疲れなどによって免疫力が低下すると、膣内の環境が酸性からアルカリ性に傾きやすくなるからです。
膣内環境が酸性からアルカリ性に傾いてしまうと、トリコモナスが増殖しやすい環境になることから、症状があらわれやすくなります。

また、生理の際にも注意が必要です。
アルカリ性である精子は、酸性である膣内を中和しながら奥へと進んでいきます。
そのため排卵が近づくと女性の膣内は精子を子宮へと上手く送るために膣内環境が変化することになります。
この時、膣内環境はアルカリ性へと変化するため、トリコモナスや様々な雑菌が侵入しやすい環境となります。